調査結果
休園・休校の状況
校園種によって状況が異なっていた。幼稚園や小学校は3~4割が「休園・休校中」であり,「休園・休校ののち再開」も同じ程度の割合であった。他方,保育所及び認定こども園では「休園せず」が約8割であった。
休園・休校明けに気をつけたこと
「感染予防対策」「心のケア」「密を避ける・マスクの着用・消毒・喚起・手洗いの徹底」「体調・健康・衛生の管理」「生活リズム」
入園式・入学式の実施状況
保育所では半数が実施し,幼稚園、認定こども園、小学校では8割が実施
交流活動や行事への影響
どの施設、小学校でも約50%が影響を受けていた
交流活動の中止・延期・再調整などが行われ、(1) 相互に写真を送り合って情報共有している。(2) 小学校のイメージがしづらくなっているので、絵本や写真を見せてイメージができるようにしている。(3) 入学式で、2年生がお祝いのメッセージと歌をVTRで披露した。(4)学校再開のガイドラインや年間標準時数の確保のための行事や交流の精選などが行われていた。
就学移行期のカリキュラムへの影響
小学校の約64%、幼稚園と認定こども園の約35%、保育所の約20%に影響があった。
就学移行期のカリキュラムに関する難しさと対応・工夫
具体的な記述内容は次のようなものであった。
(1)難しさ
・入学後、学校生活に慣れるための指導や安全指導が十分にできていない。・登下校指導、高学年との交流活動、簡易給食指導が通常どおり実施できない。・1年生が学校に慣れる時期が大きくずれている。学習する内容も、遅れている。・小学校との交流事業がなくなり、アプローチカリキュラムの実施が懸念される。・当初立てたスタートカリキュラムが実施できなかった。再開された時のために見直しをしているが、時間的な余裕がないため、当初のようなゆったりしたものにならない。しかも、児童の実態は差が出ている。・スタートカリキュラムが実行できなかった。一年生と上学年との交流がなくなった。
(2)工夫
・計画自体を少し後にずらしたり、施行しない事柄や変更して行う計画を作る事が必要になっています。また、子どもの教育的な意味での成長状況の確認時期を遅らせる様にした。・4月にできなかったことを6月から始める。・6月から、一から楽しく学校生活を送れるようなプログラムを組んでいる。
次年度に向けて懸念されること
1.対面での連携
・全園児、書面だけの引継ぎになったり、直接話しての情報伝達が例年のようには出来ないのではないかと思う。
2.授業・保育参観
・互いの授業・保育参観ができるか、多くの連携が持ちにくくなるのではないかと思う。
3.特別な配慮を要する子どもへの対応
・直接引継ぎができる幼保小連絡会が文書のみになった場合、要配慮のお子さんの引継ぎを丁寧に行うことが難しくなるのではないかと心配である。
・特に発達障害の子は様子やサポート仕方などの共有できると安心だと思うので、幼保小の間で共有の会などが中止されても、資料などを通して共有ができればなと思います。
引継ぎ等に関して求めるサポート
1.オンライン環境
・今回は史上まれにみる事態となっているが、リモートを使用する等、直接会ってやり取りする方法ではないやり方を考慮していくべきと思う。・個別にでも引き継ぐ機会、リモートなどで実施してほしい。・小学校サイドのネット環境。・書面だけではなく、オンラインでもいいので話せる環境が欲しい。・Webを使ってでも行ってほしい。・区内の幼保小が集まって、一斉の引き継ぎ会があるが、集まれない場合の代替手段、オンライン化などが必要と考える。
2.電話での引継ぎ
・一度に集まるのではなく、引継ぎ日を数日設けたい。または、文書での引継ぎのみになった場合、後日電話での引継ぎなどの時間があると安心である。・書類では伝え切れない細かな点を、電話でもいいので引き継ぎ出来ることを望む。
3.対面での引継ぎの工夫
・状況に応じて、面談する部屋を換気しながら少人数で行うなどの工夫をして行いたい。どのような状況においても、引継ぎは100%確実に直接顔を見て行いたい。
予想される困難とその対処
1.教育日数の確保(幼稚園・小学校)
(1)影響
・今年度に関しては、4月5月にできなかったものを6月から3月までの期間で行えるように準備しています。・学年末までに履修を終えることができるかどうか。次年度にまたがってしまった場合の対応。自由な長期休業(夏休みなど)が削減されることによる,心理的な負担が増加する可能性がある。
(2)工夫
・季節に関する遊びに関しては、図鑑や絵本を利用する。・学びの保障のために,指導の重点化,単元の入れ替えなどカリキュラムの変更が必要。・学期の終始時期,時数の確保状況にもよるが,家庭との連携(家庭学習との関連,充実)なども考慮に入れて,学習を保障していく必要がある。また,授業や活動の形態については,方法の工夫,ICTの利活用など考えていかなければならないと思う。
2.子どもの育ち
(1)影響
・園での活動ができなかったことで、育ちが違う可能性がある。・夏のプール遊びや運動遊びの規制が厳しくなり、十分な活動の経験が出来ないまま卒園⇒就学となってしまう危険性がある。・休校期間の学びの差が生じているのをうめることや、生活リズム、生活習慣の乱れが生じる可能性がある。・学習しなければならないことが残っており,詰め込みになったり,児童が楽しみにしていたことができなかったりして,不登校が増えることが心配である。
(2)工夫
・子どもたちが不安にならないように、保育の補助が必要なクラスには集中してフリー保育士や短時間保育士がサポートする。・普段より多くの手紙や連絡をしている。
・例年以上に子どもの心の状態を注視する必要があると思います。また,行事が軒並み中止になるので,学級やグループ活動等小さな単位の活動で成就感をもたせるようにしていきたい。・子どもにとって本当に必要なことは何かという視点で精選した活動を行うようにしていく。
3.行事の調整(就学前施設が多い)
(1)影響
・従来通りの保育が難しいため集団で行う行事ができない。
・例年経験している行事を経験できない可能性がある。
(2)工夫
・保護者からの心配の声が予測されるので、子どものみの行事にしていく等、縮小して、これ以上子どもの楽しみを減らさないようにしていきたい。
・通常スケジュールで行事や取り組みを行うと子ども達に負荷がかかり過ぎる可能性があるため、子どもの姿を見て、見直しながら進めて行くことが求められる。